医療翻訳家のブログ

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イギリスの翻訳会社の正社員。20代。イギリスの片田舎に住んでいます。都会に引っ越したい。医療の知識なしで翻訳者になってしまいました。医療関係者ではない視点から、医療英単語やフレーズをどのように訳せばいいのかを解説します。

翻訳者に必要な資質ー医療翻訳者になるにはー

医療翻訳者ってどうやったらなれるの?

 

はい、タイトル通りのお話。

 

私は翻訳を始めてまだ半年もたっていないぺーぺーです。そんな人が資質を語るなんて調子に乗って、と思われそうですが、語ります。愚痴も入ります。

 

まず翻訳者になって思うのは、「意外とちゃんと訳せない人多いんだなー」ってことです。ベテランの方、すみません。私の会社が雇っているフリーランサーの話をしているだけなので、不快に思わないでくださいね。でも10年20年経験があっても、ちゃんと訳せない人って存在するんです。そういう方は少数ではないと思われます。

 

まず翻訳者になるのに必要だと(一般に)思われていることを検証していきます。

1.英語力

2.翻訳の知識、経験

3.専門分野の知識

 

結論から申し上げますと、これらのどれも、本当に必要なことに比べたら重要ではありません

 

1.英語力

これは必要なんですが、英語力というのはある程度のところまで行くとみんなどんぐりの背比べになります。つまり読める人は読めるし、読めない人は読めない、そういう世界。

 

ある程度の英語力(多分IELTS7.0とか、TOEIC900くらい)は必要なんですが、本当に必要なのは間違いなく日本語力です。というか翻訳者の出来不出来は確実に日本語力に左右されている。だから、英語がちょっとできるからといって翻訳者になろうなどと思ってはいけません。ご自身の国語力はどうですか?語彙は豊富ですか?人より上手な文章が書けますか?

英語ができるけど日本語ができないとか、きちんとした日本語を使えないとかいう人は一番困ります。当たり前のことですが、文章の読み書きがこれといって好きでない人、得意でない人は翻訳者を目指すのはやめてください。色々な人に迷惑がかかります。

私は自分の日本語のバンクを常に拡大していくことが翻訳者としての一番の仕事というか、本当のステップアップなんじゃないかなあと思います。

 

2.翻訳の知識、経験

これは必要ないのではないでしょうか。翻訳学校が何を教えているのか知らないのでなんとも言えませんが、私は翻訳の知識や学位ゼロで始めましたが、今のところクビにならずに毎日勤務できています。(拾ってもらった会社には感謝しています。)翻訳に翻訳の知識や経験が必要というならば、村上春樹さんはどうなるんでしょう。私の見解では、翻訳者には知識や経験がなくても全然なれます。ただ日本の翻訳会社の採用条件は「実務経験3年以上」というところが多い気もするので、最初に職を見つけるのが少し大変、かもしれません。

 

3.専門分野の知識

これはあるに越したことはありませんが、私は医療の知識ゼロで始めました。どうやって生き残っているのと思われるかもしれませんが、多分私は調べ物が人よりできるのかもしれません。分からないところはよく調べます。分かるまで調べます。今のところ、ネット上の調べ物しかしてませんが…。でもそれすらできない、しない人が多すぎる。(分からないままとりあえずカタカナにして出してくる人とか…)

調べるというのは時間のかかる作業です。グーグルに聞けばいいというものではありません。聞いて答えが出ない時の方が多いですし…。

調べるという作業はその作業自体に意味があるのではなくて、その翻訳のオリジナルテキストの内容を理解することに意味があるんだと思います。陳腐なことを言っているように聞こえますが、専門的なことを訳す際は、専門的な世界(医療なら医療関係者、土木なら土木関係者)で話されている言語のダイナミズムをある程度分からないといけません。Terminologyが違う世界なんです。一般で話されている日本語ではないんです。

ですから、こうした言語世界を速く、正確につかむというのは結構困難な作業です。でもこれを抜きにしては翻訳はできません。

 

 

 

 

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