訳しにくい単語①relevant
こんにちは。
翻訳をしていて、英語の概念がそのまま当てはまる日本語がない...というのはあるあるな話ですが、今回はその1つであるrelevantという単語に的を絞ってお話します。
1. relevantは「関係がある」と訳していいのか?
relevantは関係がある/関連があると訳されることが多いですが、そのまま訳すと日本語の意味が分からないという現象がよく起こる単語でもあります。
例えば、"How relevant is this image to you?" なんて質問が普通に市場調査に出てくるのですが、これを「この画像はあなたにとってどの程度関係がありますか?」と訳してしまうと日本語として文章の意味が少しぼやけるのが分かると思います。日本語は「XXはあなたにとってどの程度関係がありますか?」とあまり言わないからですよね。例えば「この化粧水はあなたにとってどの程度関係がありますか?」と聞かれても、???となると思います。つまりrelevantの訳を考え直さなくてはいけません。
2. 英語で理解するrelevantの意味
私の感覚ですが、relevantはネイティブにとっては割に日常用語=カジュアルにも使う用語なんです。つまり意味範囲が割に広い。
ここでいつものように英英辞書を引いてみます。以下はMerriam-Websterより。
having significant and demonstrable bearing on the matter at hand
出典:Relevant | Definition of Relevant by Merriam-Webster
なんだか堅苦しい言い回しでよくわからないと思われるかもしれませんが、要は「問題になっている事柄に対して重大で明らかな関連を持っていること」と書いてあります。
ケンブリッジ英英では「関連がある」という意味しか出ていませんが、例文にはimportantと注釈が振ってあります。
I'm sorry but your personal wishes are not relevant (= important) in this case.
出典:RELEVANT | 意味, Cambridge 英語辞書での定義
訳(拙訳):「申し訳ございませんが、あなたの個人的な希望は今回の場合重要ではありません」
こうしてみると、relevantの意味範囲は日本語の「関連がある」よりもはるかに広いことが分かります。ただ「関係がある」という意味の時もありますが、多くは「重要な関係がある」という意味です。そしてsignificantのニュアンスも多分に含むので、以上の例文のように、文脈によっては「重要な」と訳すべきときもあります。
3. 日常生活で使うrelevant
余談ですが、ネイティブがrelevantを日常会話で使っている例を見てみましょう。
この男の子(名前は忘れました)はデートしている女の子Kerryに別れようと言ったところ彼女が泣き出してしまい、友達の女の子に「この子はパパが亡くなったばかりなのよ!」と責められた後のシーンです。イギリスのドラマ"In Betweeners"より。
男:Well that's awful, obviously, but not...(それはひどいよ、もちろん。でも...)
友達:What?(何?)
男:But...it's not... it's not relevant, is it?(でも...それって関係ないよね?)
このrelevantは「関連がない」でいいと思います。別れることと彼女のパパが亡くなったことは関係がないよね、と言っているわけです(この2人は付き合っているというよりも、デートしたのかしてないのか分からないくらいの関係だったと思います...たぶん。)
以上になります。意味範囲が広いrelevantは、訳例をいくつか持っておくと楽に意味が取れますね。それではまた。